「舞台上の青春 高校演劇の世界 」相田冬二

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店主からのひとこと

演劇に青春をかけた高校生たちが、どのように演劇と向き合っているのか。その記録が、取材ベースの記録として書かれた本です。特に、コロナの影響で、たくさんの舞台が中止になった2020年。高校演劇の大会も中止、映像開催になりました。そんな中、大会に出場する予定だった高校は、どのような想いで舞台を創り、向き合っていたのか。そのの記録も含まれています。

私自身、徳島市立高校の作品を映像で視聴しました。演劇を「映画化する」という試み、それは既に演劇ではないモノになってしまうのでは?という不安が若干あったものの、水の入っていないプールを舞台にした凄い作品に仕上がっていて、度肝を抜かれました。その後、田中夢花作の「水深ゼロメートルから」は、東京の劇団により、下北沢で上演されたりもしました。

名文・名言・名ゼリフ

高校野球の甲子園大会における「優勝」とは意味合いが違うが、大会に出場する以上、「国立劇場」を目指すのがひとつの目標になる。高校演劇は順位づけされるわけではないが、そが「大会」である以上、審査があるのは大前提となる。
いまだに全容が解明されていない未知のウイルスの伝染をおそれた人間たちは、ほぼすべての国において、ありとあらゆるライブパフォーマンスに極端な制限を加えた。なぜなら、人が集まることで、ウィルスが蔓延するおそれがあるからだ。
音楽も、スポーツも、映画も標的になった。ほとんどの芸術は、追いやられた。飲食店の営業すらままならない事態だった。集まるな、どころではなく、外に出るな、という期間が長かった。あらゆるアートが犠牲になったが、とりわけ演劇への締めつけは厳しかった。
全国大会の開催地は毎年変わる。2020年は高知県だった。 7月31日から8月2日までの3日間。高知に行き、わたしも全国大会を初めて体験するはずだった。暑い夏より、熱い夏になる。しかし、総合文化祭の開会式は限定的におこなわれたが、あらゆる部門がWEBでの公開に変更された。
そのホームとなる 「WEB SOUBUN」のサイトがオープンしたのが、7月31日。本来の初日である。そもそも、演劇の記録映像を集結させて、それが大会として成立するかについては賛否があった。固定カメラで、舞台の上を記録した映像を観たからといって、それで演劇を体験したとはいい難い。そして、映像としての観やすさに主眼を置いた舞台映像は、限りなく映画に近づいていく。アップや切り返し(たとえば、話している二人の顔を交互に映し出すこと)を多用すれば、表情も臨場感も捉えやすくはなるものの、映画的技法が前面に出ることによって、演劇の醍醐味は薄れてしまう。そう、演劇ではなく、映像を観ているだけ、になってしまう。これは、一度でも演劇を生で体験したことがある人なら、誰もがわかることだろう。演劇は生の芸術。だが、映像は再生芸術。しかし 「WEB SOUBUN」に参加した演劇部は、それぞれ精一杯の表現で初のWEB公開に取り組んだ。

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参考図書

書籍情報

出版社 ‏ : ‎ 辰巳出版 (2020/11/4)
発売日 ‏ : ‎ 2020/11/4
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 224ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 477782523X
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4777825233

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